2025/03/10:修了生の論文が公刊されました

大学院修了生の川原美希さんの筆頭論文がJournal of Health Psychology Researchに掲載されました。大学生を対象に,社交不安症についての知識や適切な対処法の認識について調査した研究です。 大学生680名を対象とした調査の結果,社交不安症という疾患名の認識率は26.6%でした。 また,社交不安症の模擬事例を提示し,適切な対処について回答を求めたところ,事例の登場人物にとっては専門家による支援が有効だと多くの回答者が認めた反面, 自分がその人物の立場におかれた場合に同じように専門家に支援を求めると回答した人は多くありませんでした。 模擬事例の登場人物が精神疾患の可能性があると認識した人は専門家への援助要請を行う意図が高い傾向がみられました。 加えて,専門家に援助を求めない理由として「専門家に援助を求めても役に立たない」と回答した人はカウンセリングを受ける意図が低い傾向がみられました。 場面想定法による調査であることをはじめとして限界はありますが,社交不安症という疾患の存在や,適切な治療方法に関する知識の普及によって適切な援助要請を促すことができる可能性が見出されたと考えています。

【書誌情報】 川原 美希・本多 奈美・前田 駿太(2025).日本人大学生における社交不安症に関するメンタルヘルスリテラシー―場面想定法を用いたオンライン調査― Journal of Health Psychology Research,37,69-78.https://doi.org/10.11560/jhpr.230921154