2023/01/09:筆頭論文が公刊されました

筆頭論文がJournal of Affective Disorders Reports誌に掲載されました。

<解説>
社交不安症状が高い人はオンラインでのコミュニケーションを選好することがこれまで報告されてきましたが,オンラインでのコミュニケーションにおいて不安が緩和されるかどうかについては必ずしも知見が一貫していません。 一貫性の低さの背景として,研究によって対象としているコミュニケーションの性質が異なっていることが考えられました(テキストメッセージのみを対象とした研究や,あらゆるオンラインでのコミュニケーションを対象としたものなど)。 先行研究の知見を補うために,この研究では社会人の方を対象として,対面での業務に関するコミュニケーション,ビデオ+音声による業務に関するコミュニケーション,音声のみによる業務に関するコミュニケーションで経験する不安の強さについて,社交不安症状の程度ごとに比較しました。 調査の結果,社交不安症状の程度が高い人は,社交不安症状の程度が低い人と比較して,コミュニケーションの方法と関係なく高い不安を報告していました(社交不安症状の程度が高い人はビデオ通話で不安が緩和されるといった効果はありませんでした)。 主観報告のみによる調査であることをはじめとして限界も多い研究ですが,この結果からは,他者からの評価を伴う文脈である限り,社交不安症状の程度が高い人は媒体にかかわらず強い不安を感じうることが示唆されます。

<書誌情報>
Maeda, S. (2023). No differential responsiveness to face-to-face communication and video call in individuals with elevated social anxiety. Journal of Affective Disorders Reports, 11, 100467.https://doi.org/10.1016/j.jadr.2023.100467
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