2022/07/18:筆頭論文が公刊されました

筆頭論文がPsychoneuroendocrinology誌に掲載されました。

<解説>
ストレッサーを経験した後でストレッサーに関連する否定的な思考を続けることでストレス反応が持続するという知見がこれまで報告されてきました。そこで,ストレッサーに関連する否定的な思考と拮抗する思考をすれば回復を促進できるという発想から,自己への思いやり(セルフ・コンパッション)の思考の効果が検証されてきました。自己への思いやりの思考は主観的な気分や自律神経系の活動の回復を促進することがこれまで報告されてきました。ですが,HPA系の活動を反映するコルチゾール反応の回復との関連は十分に検討されていなかったことから,本研究ではこれを検証するための実験を行いました。実験の結果,ストレッサー(冷水に手をつけて耐える&難しい暗算をする)経験後に自己への思いやりの思考に従事する実験群と単にストレッサーについて振り返りをする統制群の間にコルチゾール反応の回復の差はみられませんでした。探索的な分析の結果,普段から自己を思いやる傾向(特性セルフ・コンパッション)が高い人においては自己への思いやりの思考の影響がみられなかった一方で,この傾向が低い人においては,自己への思いやりの思考を行うことでコルチゾール反応の回復が促進される傾向がみられました。

<書誌情報>
Maeda, S. (2022). Trait and state self-compassion interactively predict cortisol recovery following an acute stressor in healthy males. Psychoneuroendocrinology, 144, 105864. https://doi.org/10.1016/j.psyneuen.2022.105864
*2022年9月4日まで下記から無料でダウンロードできるようです。
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